msdr 君や見聞く鬼魅よ御棺 忍者ブログ
オンオフ交えた備忘録ような
 
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ぐっだぐだやで!

集中力 持続 せず。


曇りのない笑顔でまるで人間のように振る舞う其れらを見る度身の内にに繰り返しやるせなさと殺意が確かに身の内に生まれるのをいつも感じていた。どうして彼が日陰者として誰にも惜しまれずに消えていかねばなければならない。
誰よりも近くにいた筈であったのに彼を止めることができなかった自分がどうしようもなく惨めに思えて仕方がなかった。

シャドーマンは隠者であった。影から影へと忍び歩く間者、今様に作られたからくりであった。常日頃からワイリー博士のそばに控えその意を受けては獲物である武器をふるい任務を全うしてきた。しかしいつ何時も仕事を言付かると言うわけでもなし、有り体に言えば何もする事がないということもある。その様に時間をもて余すときはきまって一人思慮に耽るのが習慣であったのだ。電気信号の一つ一つを胸の奥の核から手足の指の末端まで行き渡らせ巡りまたひとところに落ち着ける。今日この頃、0と1の世界に沈む折にいつも想い繰り返すのは“彼”のことばかりで、その間いかに自分が不忍にあるかシャドーマンは自覚がなかった。だから少年は易々と彼に近づくことができたし、話しかけることにも躊躇がなかったのかもしれない。


「ねぇ、その襟巻き…マフラー?は邪魔にはならないの」
彼と全くの同じ声、を聞いて内部に潜っていた意思が唐突に引き上げられた。そして面食らった。「ロック殿」人間と見まがうほどに良く作られた人形が目の前に立っていた。武装はしていない。
「こんにちは。」
「何故ここにおられる。」
少年はシャドーマンの隣のすこし距離をおいたところに座り込んだ。動作ひとつとってもその四肢の駆動はなめらかでとても彼が機械だとは思えない。赤い血が流れてるのではないだろうかと錯覚するときがある。きらりと光る碧のレンズが眩しい。
「なんでも。」
「なにでもなく此のような僻地に訪れる御身ではなかろう。」
片目を細めて言葉を尖らせてみたが揶揄に気付かずか否か少年は微笑むばかりであった。
「そうだね。僕が、用事もなくこんなところにいたらおかしいよね。」
少年は今度は下を向いて、砂礫をつまんでさらさらと落とした。その何気ない動作ですら凝視してしまう。きれいに整えられた人工皮膚には汚れひとつ残らないので、DRNにはよほど優れた材質が使われているのかと、例えばこれがあの子の指先であったら小さな石英の破片は彼の指にまとわりついていたのだろうかと、とりとめのない思考が回路を走った。
「シャドーマン。」
少年が語りかけてきた。
「…」
「ねぇ」
「…」
「君が僕を嫌っているのは知ってるけどさ。」
「……」
「……返事くらいしてよ。」
聴覚機能こわれてるの?
眉をひそめて問われたので、シャドーは渋々といったように返事をしたのだ。
「何用で、御座るか?」
彼が現れた時に最初からこう言っておけばよかったのかもしれない。と今更ながら思った。
「君に聞きたいことがある。」
汚れに染まぬ白い指は、今は夏草を弄んでいた。あの子と寸分たがわぬ色の碧が懐かしむように細められる。コンマ一秒以下の間、わずかな電流とともに再生された。少年がこちらを見ずに言った。
「君はあの子を取り戻したいと思ったことがあるよね。」
回路に痺れが走る。
「はて、あの子とはどの子のことで御座ろう。」
からくりである身なので、さりげなさを装うことは難しくないが楽でもない。シャドーは仲間内では表情に乏しいほうだが、人間は簡単に騙せても、同じ機械はそうはいかない。
「ブルースから聞いたよ。」
「何を?」
「何時もの口調も忘れて怒鳴っていたらしいじゃない。」
あのビルの上でのことを話したのか。まったく、奴は余計なことばかりすると。
反芻される記憶の中にそれはある。あのやり場のない思いをどう忘れられようか。
「そのようなことは拙者のメモリーには御座らんよ。」
「君はとっさの嘘が下手だね。」
「……嘘など。」
巻き布を引き上げた。いつの間にか少年はこちらをじっと見て話していたので、見透かされそうで怖かったのかもしれない。少しでもそれから逃れたかった。
瞬きをした。あの子と同じ目、否、違うはずなのに、同じに見える目がそこにある。胸が騒ぎだしだ。シャドーマンは少年から顔を逸らした。
「ロックマンになれなかったロックマンを、君はどうしたかった。」
高度な知能を与えられたロボットが言葉に詰まるというのは妙かもしれない。返す為の語句を幾千通り演算しても、シャドーの口は言葉を出力することができないでいた。
「あの子の、家族にでもなりたかった?」
言葉がひやりとした怖気含み驚き振り返ると、いつの間にか傾いだ夕日を背負って顔の見えないロックがそこに立っていた。緑の瞳だけが奇妙に電気信号を明滅させていた。
「家族、などとは」
「じゃあ恋人?」
「そんな」
「僕を殺して、彼を生かしたかったんだろ。」
それは愛ではなかったの?
予想外の言葉に、シャドーはロックを見つめ返すこと(凝視といったほうが正しい)しか出来なかった。自分はあの時彼を救いたかっただけなのだ。複製だからという理由で必要とされないことなんて無いと。
思いの根源なんて考えてみたこともなかった。それは嘘じゃない。

「お前は煮え切らない男だなシャドーマン。」
何も言わないのを見てロックマンがため息を吐いて、そして笑った。シャドーは自分の視覚と聴覚を疑った。彼は、こんな会話言語のパターンは使用していた?こんな顔をしたことがあった?
「そんなんだからあの子の真意にも気付けないんだ。」
「ろっ、く 殿」
違う。いや違わない。
彼は、どっちだ?
凍結したようにただその姿を映すばかりであるシャドーマンに対して少年はまた更に笑い声を上げた。笑い声というよりも寧ろ哄笑に近い。かつて見たどの姿にも当てはまらない少年がそこにいた。気味が悪い、そう思ったのを見てとったのか少年は笑うのをぴたりとやめて今度は正義のロボットがおおよそ表すことのできない筈の、
「僕が生まれてからあの子が死ぬまで。」
レンズの奥がぎゅるりと締まる。
「お前は一体何を見てきた。」
苛烈な顔に穏やかだったはずの碧をぎらりと光らせてシャドーマンを睨み付けた。
「あのとき本当は誰が本物で誰が残されたのかも知らないで?」

あの子が孤独な心を隠しさえしなかったら、あの時お前がちゃんとあの子を見ていてくれたなら、こんなことにはならなかったんだ。


********************


影(岩)複製  ^^^^^^^^^p^  みくしでかきそこねた かひつしゅうせい
本当はもっと書き込まないといけないと思います。しかし私では文章力不足です。残念。
短い言葉遊びが好きなので中二臭のする記事タイトルは気にしないで下さい。

にじゅう いれかわり ねた   消化不足!
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